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10/05/2001-NHK東海 ゆうがたチャンス
9/13/2001-テレビ朝日「トゥナイト2」
6/12/2001-TBSエクスプレス
    稲葉みちよが選ぶ、この夏の着こなし特集!!
6/12/2001-TBSエクスプレス
    稲葉みちよの提案する着やせテクニック大公開!
5/22/2001-TBS エクスプレス
    初めての109、変身コーナー 出演
5/2001-(株)NHK情報ネットワーク I-media 2001.6 NO.207
   

ファッションデザイナー 稲葉みちよ 
聞き手 NHK情報ネットワーク
チーフプロデューサー加藤 和郎

(いなば みちよ)
横浜市出身。バンタンデザイン研究所ファッションデザイン科卒業。輸入テキスタイル会社、専門店バイヤーを経て1993年に独立。(有)ワッツアップを設立し、オリジナルブランドを立ち上げる。 96年から年2回の東京コレクションに発表。展示会をあわせて毎年100点以上のデザインを手がける。98年コレクションではコンピュータゲームとファッションの共存をテーマにしたほか、99年にはPC用バッグをデザインするなど、デジタルとの融合を図るIT時代のファッションデザイナーとして注目されている。

情報端末を装う
−− 今年のNY・ヨーロッパコレクションは、強さと脆さ、シックさとセクシーさ、甘さとパワフルさというように、異なるイメージの組み合わせが目立つそうです。 『ダブルエッジ(両極)』というのだそうですが、稲葉さんがコンセプトにしている『相対性の魅力』に通じるところがありますね。最近はデジタルとアナログを融合するファッションデザイナーとして脚光を浴びていらっしゃいますが、この取り組みはいつごろからですか。
稲葉 ファッションの対象としてコンピュータを意識したのは2年前です。ノートパソコンが欲しくなった時に、「どこに入れて持ち歩けばいいのかな。仕事っぽくなくて、オシャレに持ち運べるバッグが欲しいな」と思いデザインしてみたんです。そして東芝さんに持ち込んだら商品化された、というのが最初です。

−− パソコンを水平に納めて運べる、ふっくらしたスタイルの『ダイナブック・バッグ』ですね。 「ドクターバッグ(往診用カバン)に似ているな」というのが第一印象だったけれど、ピクニックにでも出かけるような雰囲気も持っています。パソコンを使う時は、バッグのまま机の上に置いてキーボードより上の部分のファスナーをあけると、上の部分がフタのように外れてしまう。機能的でシャレていますね。
稲葉 コーヒーショップなんかでは、周りの空気を壊さずに仕事をしたい。よそからは、ゆっくりお茶を楽しんでいるように見せたい。言い替えれば、お弁当を隠すシステムなんです。

−− そのあとは、パソコンを背負ってしまう『サスペンダーバッグ』や、携帯電話をブーツのポケットに入れてしまう『レッグハイド』など、手で持ち運ばずに身に着けてしまうというスタイルへ変わって来ていますね。
稲葉 ええ、ウェアラブルですね。今はメーカーさんが、あくまでも機械としてしか考えていないから、仕方なく洋服屋がそれを身に着けるためのデザインをしています。 だから、どうやってもカッコ悪くなってしまいます。エレガントにはほど遠いんです。でも、これからは端末自体が身体に沿うように進化してくると思います。それが、本当のウェアラブルですよね。 だから、パソコンが腕時計に組み込まれるのは一番自然だと思います。
もう少し進めて考えれば、パソコンのチップをピアスにして、サングラスのようなディスプレーを音声認識で操作するんです。ピアスに入りきらない機能はペンダントや腕時計の形にしてしまいます。 それから、携帯電話はネックレスにしたいですね。ひところチェーンが流行りましたでしょう。手前で巻き付けてネクタイみたいにすると、アクセサリーになったじゃないですか。 あんな形のネックレス電話で、片一方を耳に当てて、もう片一方で話します。で、操作は全部おしゃれなバンドでやるんです。それって、服装として普通ですよね。だから私の考える究極のウエアラブル端末はアクセサリーです。

−− 装着という硬いイメージから、装おうというやさしさに変わりますね。
稲葉 でしょう。大体、携帯電話がなぜ四角で硬くなければならないのか、私わからないんです。テレビだって、子どもがぶつかっても痛くないように丸くてふわふわしていてもいいんじゃないでしょうか。 丸ければ、リモートで操作して手元に転がしてくることだって出来ますよ。

−− 「手元に呼べるボール型テレビ。見終わったらお部屋の隅へコロコロ」なんて楽しいですね。ワールドカップの観戦用に商品化できるかもしれない。

ゲームクイーン
−− では、ミチヨ流発想の秘密を解明してゆくことにしましょうか。横浜の元町を拠点にしていらっしゃいますが、ご出身はどちらですか。
稲葉 元町とはちょっとずれていますが、近くです。

−− 浜っ子なんですね。
稲葉 はい。父が船員さんなんです。横浜にはPX(米軍の酒保)がありましたでしょう。小さいときは、フェンス越しにアメリカ人たちが格好良くファッショナブルに歩いているのを、みんなで憧れて見ていたものです。

−− そんな体験に加えて、70年代に若者ファッションをリードした『ハマトラ(横浜トラディショナル)』も影響していませんか。 街じゅうがファッション発信地として沸いている中で育ったんでしょう。
稲葉 そうですね。実際にあれを着たのは先輩達で、元々はアイビーをどこまで崩せるかということだったようです。不良がやっていたファッションだったのが、段々お利口さんファッションに変わっていったみたいなんです。

−− そういう環境の中で、デザイナーになろうと思ったのはいつ頃からですか。
稲葉 何かになりたいと意識した最初のものがデザイナーですから、幼い頃からですね。母がオーダーメイドで高級品を縫っていましたから、シルクやカシミアの端切れを横からちょっともらっては、バービーちゃんとかリカちゃんの服を作っていました。

−− ミチヨ・ファースト・オリジナルですね。
稲葉 結構奇抜なのを作りました。小学校に上がっても、やっぱり洋服とかファッションにすごい興味を持っていたのですが、ちょっとマセていまして、最初に好きになったのがエルビス・プレスリーだったんです。 GIブルースとか、ブルーハワイとか、ああいうのが好きで好きで、本当にファッショナブルだなと思いました。一緒に出てくる女性達のファッションやポニーテールの髪型とかも好きでしたし・・・。 そういう風に、周りの子たちとはちょっとずれた調子でした。

−− いわゆるフィフティーズですね。こちらはリアルタイムに通過したけれど、そちらは映画の『アメリカン・グラフィティー』でよみがえった20年後のフィフティーズね。
稲葉 ええ、ジルバやツイストを小学校の時に練習したりして、もうフィフティーズにどっぷり。それが許されたのも横浜の空気でしょうね。 恥ずかしいから他人にはあまりお話してないんですけれど、ゲームの女性チャンピオンになったこともあるんですよ。

−− コンピュータゲームのですか。
稲葉 ええ、小学生の頃にゲームセンターができて、大人の人たちと一緒なら入れたんです。インベーダーゲームは、そんなにうまくなかったけれど、そのあとセガさんが出した『ペンゴ』っていうゲームでは、女性チャンピオンになって時計をいただきました。 ペンギンに変わって氷を押しだしてゆくというゲームなんですが、私がやると100円で何時間も遊べてしまうんです。もう、バグって機械が動かなくなるまでやりました。お店の人もきっと、うんざりしていたと思います。 もう、ホントごめんなさいです。

−− デジタルとの融合を目指すファッションデザイナーのルーツは、意外や小学生時代のゲームクイーンにあったんですね。
稲葉 始めてしゃべっちゃったんですけど。そうかも知れませんね。ゲームはどうやって出きるのかなという興味はずっと持っていました。 でも一方で大好きだったファッションの勉強をして、テキスタイルの仕事に入ったんです。そこは輸入生地を扱っていて、私はオートクチュールの先生にバイイングするのをセレクトするっていう仕事までさせていただきました。 私がセレクトしたものは、なぜか当たるんですね。駆け出しなのにそこまでやらせていただけるので、生地の端をジョキジョキ切って、サンプルのスワップ帳を作るのが楽しかったですね。

−− すごい目利きだったんだ。
稲葉 母親がお客さんとファッション誌をめくりながら選んでいるのを、子供の頃から見てますからね。

−− 知らず知らずのうちに目が肥えていたんですね。それはいくつの時ですか。
稲葉 二十歳です。バンタンデザイン研究所で勉強していたんですけれど、卒業が決まってから証書いただくまでに時間ありますよね。 その間に入れてもらっちゃったんです。で、「卒業証書、もらってきました」って言ったら、「ああ、そんなの必要ないよ」みたいな感じで・・・。もう実践、実践といった空気でした。

−− バンタンは“成功しているプロによる、プロのための学校”と言われていましたね。 実は僕もデザインに興味があって、趣味的にその方面を雑学していたのだけれど、専門誌で「デザイン戦略時代のクリエイター育成」といったキャッチフレーズをよく見かけたものです。 バンタンと実学とを併行して学べたなんて、ぜいたく過ぎますよ。でも素材を扱うだけではものたりなかったでしょう。
稲葉 はい、自分でもいろいろ作りたくなって・・・。そのころアクセサリーに興味を持ち始めていたので、家で作ったものを青山なんかの小さいお店に「ちょっと置かして」とか言って、サイド・ビジネスをしました。

−− で、デザインが本業になったのは?
稲葉 それが、ちょっと回り道してしまって・・・。立ち上ったばかりのゲームソフト会社に関わってしまったんです。ゲームがお好きな方ならよくご存知の『スクウェア』です。 学生ばかりの会社で最初は日吉にあり銀座に移りました。そこでは女の子のまとめ役とユーザー・サポートなどをやっていましたが、とても勉強になりました。 たとえば、小学生のユーザーから電話がかかってきます。「すいません、スクエアさんですか?ちょっと今オレ、バグってるんですけど、これどうのこうの」って言うと、社員みんなが「バグった!」って言って即対策会議なんです。 そうした情熱が次の商売につながっていくのを目の当たりに見てきました。それから「ゲームって、こうやって作られるんだ」ということを企画の段階から追うことができたのも収穫だったと思っています。

−− テキスタイルの会社で素材の流通を学び、スクウェアで企画から製品までの流れを学んで。これはすごいカリキュラムですね。 スクウェアにはいつまでいらっしゃったんですか。
稲葉 3年近くいました。スクウェアが任天堂と契約してドッグいうグループを作り、初めてファミコンの組織を立ち上げたときには、記者会見の受付をやりました。 いろいろ経験させていただいて、「もうちょっとファッショナブルなものに組み合わせられないかな」って考えてはいたんですが、やっぱりオタクの世界なんですね。 結局、ファッションの世界に戻ってバイイングの専門店に入りました。そこでは、私の“目”を買ってくださるボスに連れ歩かれて、展示会で一度に何千万とかを仕入れるなんていうのをやっていました。 お客さんが見えていないと出来ることではありませんから、結局バイイングから販売までです。そうするうちに、私のオリジナルも出させていただいたりして、独立したのが93年です。

経営デザイナー
−− 元町に『AURA』というお店とアトリエを構えたんですね。ブランドのロゴが龍なのは横浜発信をイメージしてですか。
稲葉 いえいえ、夢の中に昔から龍が出てくるんですよ。変に聞こえるかもしれませんが、龍がアドバイスしてくれる事もあるんです。 それを知ってる先輩が「ミチヨちゃん独立するなら龍を入れようよ」って言って出世払いでデザインして下さったんです。出世してないのでまだ払ってないんですけれど。

−− もう十分に払い時です。龍だって肩身が狭いと言っていますよ。それにしても、おしとやかでエレガントな龍ですね。今でも囁いてくれますか。
稲葉 くれます、くれます。この龍のお陰で、中華街の龍舞の皆さんにも応援していただいていますしね。

−− 独立して9年目になりますね。ユニクロ以外は大変そうだけど・・・。
稲葉 創めた時に、どうやって自分の商売をしていこうかなって考えたんです。普通のアパレルの会社だったら、展示会をやってバイヤーを集めて卸すわけですよね。 卸された側としては、掛け率がいろいろあります。そして、ある時期はセールにかけなきゃいけないような感覚になってきて、お客様と板ばさみになっちゃうんです。 お店にいたときに、昨日までプロパーといってそのままの価格で売っていたものが、明日は50パーセント・オフになるというので、お客さんに目の前で泣かれたことがあるんです。 たしかにおかしい、不条理だって思いました。 だったら最初からセールにできないような価格付けをする会社ができないかなあ、アパレルができないかなあって考えていたんですね。 そこで親しい社長さんに相談すると、「そんなの無理だよ、ミチヨさん、何考えてるの?」って笑われました。 でも、“出来るって信じている自分”を信じる以外ないからやってみようと思って始めました。

−− セールをしないというのは、安売りの赤札を付けないということですね。
稲葉 それには、多めに作らずに在庫を持たないようにすればいいんです。 そうすれば、「卸を経たものなら3倍はしますよね、よそがたとえセールしたとしてもこの値段までは下がりません。 私を信じてください」って自信を持ってお客さんに言えます。 で、これまでの8年間、セールなしで全部売り切っています。 うちは、展示会に来ていただくのは直接お客さんです。 その場で試着していただいて注文してもらう。 今では1万人のお客様が信用し認めて下さったうえで成り立っていますから・・・、私がお客さんを裏切ったらそれで終わりです。

−− ファッションデザイナーである前に、経営デザイナーなんですね。
稲葉 多分、好きなんです、人間が。コンピュータも好きですし、洋服も好きですし、 すべて裏切りたくないっていう意志がすごく強いのです。だから洋服に関しても、細かいディテールまで気を配ります。工場で働く人の具合まで気を配らなきゃいけない と思っています。体調が悪そうなときは、あんまり仕事を入れないようにして、他の工場に頼んだりとかして、流しながら作るということはやらせていません。電話すれ ばその応対や声の調子で体調とかが分かりますから・・・。どこかでマイナスが生じると、売れなくなってしまうような気がします。「売れるもの、みんなに愛されるもの というのは、どこまでも純粋じゃなくちゃいけない」というのが、私の信念なんです。 それを押し通してゆくためには、「セールをしない」にこだわり続けることと、あと はメディアの方たちに対して背伸びしたり変に縮こまることなしに、本気で伝えることしかないと思っています。

−− すごいねえ、お見それしました。「売れるもの愛されるものは、どこまでも純 粋じゃなくちゃいけない」は、スタッフの人間教育にもなっているんじゃないですか。
稲葉 うちのスタッフの子達は、全員が“居なかったら困る”という存在なんです。ですから、とにかく全部を覚えさせます。接客から生産から生地の管理などまですべてをやらないと、お客様に対して絶対にボロが出てしまいます。いい加減なことがば れた途端にコミュニケーションが断たれてしまうんだ、という風に伝えると、みんな分かってくれます。 それを分かってくれるスタッフがいればこそ、少人数でいながら大きい仕事に持っ ていけるんじゃないでしょうか。面白いもので、全員に何でもやらせるといっても、やはりそれぞれに長けている部分が出てくるんですよ。この子ってデータベース作り に向いているなとか、この子はお客様の事を管理するのに向いているなとか感じると、そちらの方で伸ばしてあげれば、そのうち彼女達が独立してくれるんじゃないかと期 待したりするんです。そしたら、アウトソーシングで頼もうかなと思う。彼女達は他の仕事も入れられながら、目先を広げる事ができるし、うち以外の情報が入るんです よね。

−− スタッフの将来までデザインしてしまうんですね。
稲葉 ゲーム感覚なんですよ、きっと。

−− そうか、スタッフをゲームのキャラクターに見立てているんですね。
稲葉 そうそう、キャラ決めてますね、はい。

−− ゲーマー経験がここでも活きてますね。しかし、ファッションクリエーターの 世界では特異な存在でしょう。「私は感性を大事にしたいから、コンピュータや機械 とは向き合いたくない」という人が多いのではないですか。
稲葉 多分そういう人達にかぎって、実際にいじらせるとハマリますよ、すごく。私 は、デジタルとアナログって同じだと思ってるんです。だって、コンピュータは感受性持ってますから・・・。こちらが調子悪いときには、コンピュータも絶対に具合が悪くなる。だから感性の強い人は、余計にハマリやすいんじゃないかと思っているんです。ただ、周りにそういう人がいないから知らないだけ。

−− コンピュータは鏡だということですか。
稲葉 そうです、そうです、本当にそうです。コンピュータは鏡なんです。デジタル でグラフィック作ってる子達も、自分の気持ちが素直に画面にはね返ってくると言いますからね。生地を織る職人さん達と話していると、彼らがすごくデジタル的な考え をしていることに驚かされます。ですから、極端なアナログは、極端なデジタルになり得ると思うんです。

未完成の魅力
−− インターネットも早くから活用していますね。一昨年はいち早くブロードキャ スト・コムでショーの中継もやっているし。
稲葉 ファッションデザインは、アナログ寄りにすごく偏ってるんですね。ネットに のせると盗まれるっていうのを恐れて、毛嫌いしている人も多いです。でも私は、逆に盗んで欲しいと思います。どんどん盗んでくれて、同じようなカッティングで同じ ような色とかで、私が予想しなかったシチュエーションで展開してくれれば、それはそれでありがたいなと思ってるんです。その方が、私一人でやっているより広がるじゃ ないですか。

−− 流行るということは、似たものがいっぱい出てくることでもありますからね。 どうせ真似られるなら、「元祖は私よ」って早いところ公開してしまった方がいい。 どんなに亜流が出てきても、オリジナルに勝てないのは決まっているし、第一、先頭 を走るのって気持ちいいでしょうからね。
稲葉 私があまりにオープンなものですから、「次はどんなもの出すの?」って聞い てくる方までいますよ。うちはお客様との信頼関係で結ばれていますから、バンバン出しちゃってます。ただネットの場合、ホームページでモデルの正面の写真は極力出 さないように配慮しています。彼女たちにも肖像権がありますから。

−− それで、後ろ姿ばかりがずらっと並んでいるんですね。
稲葉 メイクでごまかせないのがバックなので、後ろ姿の美しいのって、私大好きな んです。その人の生き様みたいなものも全部後ろに出ますしね。だから「バック・スタイルを強調しているのよ」っていう風に言ってるんですけれども、実は肖像権なん です。

−− ショーの時にも、モデルたちへの気遣いは一流だと思いましたよ。
稲葉 モデルの子達は顔がビジネスだったりしますから、そこのところは大切にして あげないといけないと思っています。実際にショーをする時は、メンタルな部分もすごく大切なので、気に入ってる子達だけでなく毎回百人ぐらいを集めてオーディショ ンをしています。その時に、不思議といい恋愛をしてる子は、光るんです。「今日、どうした?」って言うと、「今、こうなってて」って、恋愛相談みたいなのを受けちゃったりするんです。

−− 人を見る感覚が鋭いんですね。
稲葉 上に上がっていく子は、顔に感性が現れてくるんです。私は完成したプロフェッ ショナルなモデルよりも、今売り出し中のトップといわれている子達を集めるんですね。
14,5歳からずっと見てきて、去年は良くなかったけど「今年18できれいになったねえ」 みたいな子をメインに持っていきたいと考えたとしますね。それでオーディションをやってみると、未完成のままだった感性にすごい可能性が出てきているのを発見しま す。感性はやはり顔に出るんです。

−− コレクションのテーマに『未感性』というのはどうですか。磨き上げる前の揺 れ動く感受性の時代。
稲葉
 すごーい。すごい発想。いいですね。それ下さい。

−− どうぞどうぞ、稲葉さんの言葉から誘われて出てきたものなんだから。それよ り、ミチヨ・ブランドの基本コンセプトである『リッチな不良』と『相対性の魅力』 は分かるようで分からない、でも分かるような気がするというカッコ良さがあります。 こういうの、好きですよ。
稲葉 ありがとうございます。相対性の方は、子どもの頃にアインシュタインの相対 性理論になぜか美学のようなものを感じてすごく惹かれました。ファッションにおいても、洋服のフォルムやバランスは宇宙の構造や成り立ちと基本的に通じるものがあ ると思うんです。プラスとマイナスがあって初めてバランスが保たれますし、男と女も、アナログとデジタルもそうだと思うんです。リッチな不良は、精神的な豊かさを 持ったアウトローというかエレガントな不良っぽさの魅力です。

−− 男ならハンフリーボガードやジェームスディーンといったところですね。

洗える絹の光琳ゴールド
−− コレクションのたびに新しいテーマを見つけるのも大変ですね。
稲葉 それが、あまり無理せずに出てくるんですよ。というのは、私は1万人以上の お客さんと実際に話して、「じゃあ、あなたはこういう状況だから、こういう服がいいわね」っていう提案をするという形でここまで来たんです。お客さんとお話しして いて、皆さんそれぞれが個人的にばらばらかというと、そうでもないんですね。これだけ多くのお客さんがいらっしゃると、むしろその時その時代の傾向の固まりという か共通項が見えてくる んです。ですから、そこをすくい取ればテーマが浮かび上がってきます。前回は『ゆらぎ』でしたが、みんな水に飢えてきたんです。潤いたいと思い始めました。10代か ら70代までのお客さんのほとんどのアンテナが、水の方に向いていました。私はアレルギー体質なので、気楽にシルクを着たい。そこで、自分でも水で洗えるシルクが欲 しいと思ったんです。たまたま石川県の小松織物工業協同組合と縁があったので、「私、実を言うと、洗るシルクを開発したいんです」って申し込んだんですね。そし て、織りの方からだけ考えると開発に時間がかかりそうなので、発想の転換をした方がいいんじゃないかと思い、元々テクノロジーとしてファイバー系に強い花王さんに 「洗剤と織りで共同開発しませんか」 って提案したんです。

−− デザイナーというより、プロデューサーですね。

稲葉 花王の企画部長たちは、ファッションショーに絡むのは初めてだからって面白 がってくれました。片一方で糸の撚り方を工夫して織り、片一方ではシリコンを使って絹の組織を壊さない洗剤を開発し、私はデザインを考える。三角の形って、ピラミッ ドを作っていくのと同じでまとまりやすいんですね。大成功でした。

−− 地場産業としての織物の側から、もう少し詳しく話していただけませんか。
稲葉 ちょうど、小松の組合から地場の絹織物を活性化させるためにチャレンジして みたいというお話がきたときだったんです。50人位集まられたところで、今までのコレクションのビデオなんかをお見せしながら、「今回は洗えるシルクっていうのを、 今自分が欲しいので開発したいと思っています。まだ決まってはいないんですが、エマールという洗剤がとっても気持ちいいので、そこのテクノロジーを使いたいと思っ てます」と言って一緒にやりたいと思う人を募ったんです。そしたら5社集まりました。そこで、「ミチヨさんはどの辺をイメージしてますか?」って質問されたので、 「九谷焼、古九谷を見せていただいて感動しました。あの色を出せませんか」と言ったら、「出せる」っておっしゃって。でも、洗えなきゃ話にならないし、風合いも必 要だし。私の中では尾形光琳がもう、ちらついてちらついて。どうしても、あのゴールドを出したい。

−− ほらほら、贅沢なことになってきた。
稲葉 開発費は本当は少なかったけど、もうしょうがなくかけて下さって・・・。純金 の金箔を使うものですから、職人さん達も「今まではしょぼい話ばっかりで、落ちていくばっかりだった。こんな景気のよい話は無いから」って盛り上がったんです。

−− 織物に金箔をどう使うんですか。
稲葉 練り込んで吹き付けるんです。本当は純金じゃなくても良かったし、ちょっと やりすぎな気はするんですけど。やりたかったんですって! それがまた、嬉しくなっちゃって、デザインもどんどん上がりましてね。

−− やる気の相乗効果ですね。肝心の洗えるというのはどうでしたか。
稲葉 糸を撚る方向や回転数をいろいろ工夫して、目くずれや縮みが出ないようにな りましたし、染めの方も色落ちしないように開発されました。織り屋さん達は、何十年もずっと関わってきた仕事じゃないですか。それが、放って置くと消えていく方に あるわけで、新しい事してでも守っていきたいという意気込みがすごかったんです。

−− 光琳をモチーフにした流水文様やかすれのゴールドは豪華ですね。あまりにも素敵なので僕もポケットチーフ用に端切れをいただいてしまいました。これが地場産業の復興の糸口になるといいですね。
稲葉 それが、なんと横浜のスカーフ産業にまで広がったんです。今までスカーフさえ作ってりゃ何とかなるって言っていたのが、あっちこっちでダメになってきました。 みんなが「ダメだダメだ」「ダメよ!」って言っている時に、やっぱり立ち上がろう としてる若い二代目とかがいるんですね。アポなしでいきなりうちに来てくれたんです。「ホームページでいろいろ見させてもらいました。小松の洗えるシルクとうちの洗える捺染とを組み合わせませんか」って。こういうのって、嬉しいですね。

−− 地場産業同士の仲人役まで回ってきましたか。ファッションは時代の風だといいますが、稲葉さんにはしばらくの間、地場からとITからのつむじ風が吹き続けそ うですね。今後はNYコレクションへの進出も計画されていらっしゃるそうですから、 こちらも楽しみにしています。ありがとうございました。
* ファッションショーの写真はすべて宮沢守さん撮影です*

5/4/2001,5/6/2001-BS朝日 バラの舞踏会
   

オードリーヘップバーンについて語る。

4/12/2001-東京新聞 最終面 ITモードコレクション 「融合は私の永遠のテーマ」
 

今や、パソコン、携帯電話などの情報機器は「持ち運ぶ(モバイル)」時代から、「着る(ウェアラブル)」時代へ-。 眼鏡型パソコン画面情報携帯端末(PDA)内蔵スーツ、ブーツ型携帯電話入れなど、実用性とおしゃれを兼ね備えた商品も次々と誕生。その最先端情報をリサーチした。

横浜・元町にアトリエとブティックを構えるファッションデザイナー稲葉みちよさんはIT機器を身につけるための洋服や小物を手がけている。先の東京コレクションでは「パソコンを身につけるためのサスペンダー」「足に履く携帯電話」などの作品を発表、注目を集めた。「私は実用的なテクノロジーに『かわいらしさ』を加えたい。私自身がものぐさだから、持ち歩くより着ていたいの」

 今、興味があるのは携帯電話のアクセサリー化という。 「送信はあごの動きで音声を感知するイヤリングで。 受信はネックレスで、ダイヤが光って着信を知らせるとか」これも間もなく実現しそうで、 例えば1998年に腕時計型PDAを発売したセイコーインスツルメンツは今、通話が可能な腕時計を開発中。

3/29/2001-産経新聞 夕刊 EVENING MAGAZINE 7面 「融合は私の永遠のテーマ」
  「今」を彩るショップが立ち並ぶ横浜・元町の「元町商店街」そこから道を一本入ったマンションの一室に、デザイナー稲葉みちよさんのアトリエがある。元町という土地は、いかにも流行を作り出す立場の若手デザイナーにふさわしい選択だ。 稲葉さんは、自身のショーで「パソコンをおしゃれに持つ専用のバッグ」「携帯電話が入るブーツ」「パソコンを身に付けるためのサスペンダーバッグ」といった作品を立て続けに発表した。すべて「デジタル機器のため、ウエアラブルのためのファッションだ」

「デジタルとアナログの融合は、私の永遠のテーマ」と語る稲葉さん。デジタルとはコンピューター、アナログとはファッションを指す。その原点は十代のころの“ゲーマー”体験。インベーダーゲームにはまり、デザイナーとして独立する前にはゲームソフトメーカーに勤務していた。

「そんな世代の私にとって、ファッションの中にウエアラブル機器が入るのは、とても自然なこと。パソコンメーカーがファッションと機械を切り離して考えている方が不思議です」と語る。稲葉さんによると、流行の発信源である若い女性は、パソコンにしても携帯電話にしても、もっともっと「かわいく、おしゃれで、軽く、持ちやすいもの」を求めているという。

そんな顧客の声に接する機会の多い稲葉さんは「携帯電話は、なぜ四角で硬くて耳に当てて使わなければならないのか分からない」テレビだって、丸くてふわふわしていて、リモコンで操れば自分の所までコロコロ転がってきてもいいのに、とも。
 携帯電話は耳に当てるもの、テレビは四角いものという認識から改めなければならないらしい? 売り手は買い手のニーズを理解しきれていないのだ。例えば、パソコンの心臓部をピアスの形にして、音声認識で操り、画像を見るのはサングラス上のディスプレーにする。ピアスの中に入りきらない機能や音声だけでは動かせない機能は、ペンダントや腕時計の形にしてしまう。そんな“ウエアラブルパソコン”があってもいい。

「私が考える究極のウエアラブル機器はアクセサリー。 機械だ、と思わせてはだめなんです」と稲葉さん。今のところ自身の作品は 「ウエアラブル機器をファッション」にとどまっているが、「ぜひパソコンや携帯電話のメーカーと協力して、小さくてかわいい、アクセサリーと変わらないウエアラブル機器を開発したい。自分のファッションの雰囲気を壊さず、バッグから取り出す手間もいらないウエアラブル機器がいいですね。今の日本のメーカーならば技術的には問題ない」

あとはデザイナーなどファッション業界の関係者に機械のデザインをさせてみようという、発想と勇気が必要なだけだという。

2/2001-SNiP-TOTAL BEAUTY MAGAZINE- 2001.2 No.384 P.018〜019 2001年・夏 東京コレクション最新速報!
 
1/25/2001-繊研新聞 4面 素材・商社 稲葉みちよと小松織物工組「水で洗える」シルクを共同開発
   

東京コレクションに参加しているデザイナー、稲葉みちよは石川県の小松織物工業協同組合と共同で素材開発を行っている。極細シルクや高級玉糸(生糸の一種)など最高級シルク原料を使用。整経段階では縮みを防ぎ、安定性を高める縦糸の数や密度を工夫している。撚糸工程ではシルクの風合いを保つため水で付け込んで行う伝統的な八丁撚糸技法を採用。

また縫製では強度や安定性、風合いなどで最適な横糸密度ジャガード織りなどの工夫をした。 さらには染色整理で物性堅ろう度を高め、かすれゴールドや水流ゴールドなどの後加工など、原料の選択から工程全般に及ぶ共同開発を行っている。二月十一日に石川県小松市で開かれる「2001年ファッションデザインコンテストKOMATSU」で、「水で洗える」をコンセプトに、これらの開発素材を使ったコレクションを開く予定だ。

1/2001-スカイパーフェクTV コンピューターチャンネル755

 

2001 /1 /1〜4 第一回放送 出演
第2回放送〜第13回放送 衣装協力

1/2001-INDIVIDUAL STYLE MAGAZINE 「B」 Vol.9 2001
    P.037 J-FASHION 2001 S/S TOKYO COLLECTION
12/2000-Bay M・A 2001 JAN . VOL . 52 1月号 21世紀に向けて、ミチヨイナバが提唱する『YURAGI』
     ミチヨイナバが発表した2001年春夏コレクションは小松織物工業共同組合と花王のエマールと共同開発した"洗えるシルク"を使用し"揺らぎ"をテーマにした作品。

これまでも自然素材にこだわりシルクを多用してきたが「自分で洗えないのがねェ」という顧客の声に応えるために、今回、素材の開発に挑戦。加賀友禅を手掛ける小松織物工業協同組合の職人の技や知恵と、花王のテクノロジーを結集し、洗っても風合いが崩れないシルクを完成させた。

スタイルは、軽やかで気易そうなものが多く、尾形光琳をモチーフにした波や揺らぎを織りやプリントで表現。艶と奥行きのある日本伝統の絹の美しさが、モダンで機能的な洋服に活かされている。基本コンセプトである"リッチな不良"、"相対性の魅力"に、服を水洗いする気持ちの良さをのせて、軽やかで"ゆらぎ"ある服の数々を見せた。

12/10/2000-日刊上越タイムス 流行通信
   

 横浜を拠点としているMICHIYO INABAは、アナログとハイテクの共存をテーマに、ゲームソフトのコスチュームデザインも手掛けるなど、個性的なアイデアで幅広く活動しています。

そんな作者の2001年のテーマは「ゆらぎ」。近年、活発な技術革命や環境の変化によりアレルギー体質の女性が増えています。生まれながらにアレルギー体質のデザイナー自身が、そんな現代社会にストレスを感じ続ける女性たちをリラックスさせることを念頭に置き、どこかヨガや拳法家といった風情の楽なスタイルを作り上げました。

素材は天然素材のみを使用し、自宅で洗えるシルクを提案。ブランドのコンセプトでもある「リッチな不良」「相対性の魅力」を基本的に、型くずれしにくいデザイン、パターン縫製で軽やかな服を創作しました。

以前のコレクションでは、モデルの金髪や、額、胸、腹に施した金ぱくでどこか仏像をほうふつとさせていましたが今回も白髪まじりの長い黒髪をばさばさと後ろに流し、黄色いまゆげアート、つり目のきついアイメークなど、やはり何かインドの宗教といった感じ。シンプルなデザインが続いた後赤や黒の、着物を思わせる大きなうろこ模様の生地で作られた帯や服が強烈に目を引きました。

日刊スポーツ・ファッション・モード
   

 加賀絹の産地「小松織物工業協同組合」と、「花王エマールを使用し自宅で洗える高級天然シルク」を共同開発。 花王とタイアップでコレクションを発表した。鮮やかなプリントの着物風ドレスなどが登場した。

11/2000-INDIVIDUAL STYLE MAGAZINE B Vol.8 P081-083
   

KUWASAWA DESIGN SCHOOL FASHION SHOW

 デザイナーの稲葉みちよ氏と本間遊氏を特別審査委員に招き、審査発表が行われた。 出展者54名の中から選ばれたグランプリ、各デザイナー賞、そして来場者による特別賞は誰の手に渡ったのだろうか?

Comments

 ショーのテーマでもある「間」とは、時間や空間。それが見事に各々の学生により自分なりに表現されていました。稲葉賞受賞者、宇澤君の作品はバランスが崩れがちな異素材からなるにも関わらず、上手にバランスが保たれており、私自身も21世紀に是非着てみたいと感じる作品でした。一方グランプリの成田さんの作品は彼女なりの17世紀のとらえ方が表現されており、発想におもしろさを感じました。今回のショーは皆さんの服作りを愛する情熱がダイレクトに伝わってくるものでした。学生の皆さんには今後もこのような情熱を持ち続け、何事に対しても本気でぶつかって行って欲しいです。そうした本気は見ていて伝わるものですから。

11/14/2000-繊研新聞 12面
     ミチヨ・イナバ(稲葉みちよ)は、ひざの内側を四角くくりぬいたパンツや帯を巻き付けたような袖のトップ、だらりとした帯をポイントにしたドレスなどを並べた。
11/14/2000-日本繊維新聞 6面
   

 稲葉みちよ(ミチヨ・イナバ)は、鈍い光沢を放つシャツドレスや不規則なティアードを付けたドレスなどを天然シルクで制作した。 さらにゴールドカラーのレイヤードスタイルや、ストライプを切り替えで巧みに組み合わせたアイテムなども披露。 一部では、きものからインスパイアされたドレスも見られ「和装」を意識させる内容。 スラッシュやグリッド状の穴から露出する腕、脚がダークなブランドイメージを増幅させている。

SAY 12月号 P118-P119
 

夢を実現した女社長たち 素敵な生き方は自分でつかもう!

「自分の欲しい服は誰かも欲しがっていると思えたから」
ファッションデザイナー&ショップオーナー
 生地選びからデザイン、企画、販売を行う。「MICHIYO INABA」のコレクションは年2回。 展示会で試着できる上、注文して買うという独自のスタイル。 天然素材にこだわり、働く女性のためにクールでシャープなデザインと、女らしい柔らかいラインの調和で人気を集める。 どういう場面で、どういう服が欲しいか、細かい要望を吸い上げてくれるのがこのブランドの最大のウリである。

10/14/2000-テレビ神奈川(TVK) JOHO!横濱亭 「ハマのファッション〜横浜スタイル〜」

 

テレビ神奈川(TVK)JOHO!横濱亭
「ハマのファッション〜横浜スタイル〜」

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メーカー・ブランドサイトカタログ

 ミチヨ イナバ

東芝とタイアップしノートPC用バッグの発表など、多彩な活動をするMICHIYO INABA。コレクションページからはデジタル社会に対する彼女のメッセージが熱っぽく伝わってきます。

INDIVIDUAL STYLE MAGAZINE B Vol.006 2000 P.054 P.060
   

「アインシュタインに興味がある」
「妥協しないこと、貫く姿勢に誰かがついてきてくれる。」
「恋と仕事は一緒どっちかを選ぶなんてナンセンス!」

 自分のセンスがどこか人と違っている、それをどう伝えたらいいんだろう?そう思ったとき、ミチヨ イナバが誕生しました。生まれ育った横浜でショップを開いたのは、横浜には自由な空気があるから。老舗といわれる店があり、中華街がありベースがあり、そういういろんなものが混沌と、当たり前みたいにある。これもバランスじゃないかな。やっぱりそこに行き着くんですよね。

7/2000-sabla 006 2000 10th August P.038 サイバーガールが持ち歩くリッチ・デジタル
     キレイめ・カシコ系の女のコに、すっかり定着したモバイル・スタイル。デジタル生活を楽しむことにかけては、仕事でいやいやパソコンを使っている男たちより、だんぜん女のコがリードしている。そんな彼女たちに今、高級ブランドのデジタル周辺グッズが大人気だ。「このブームは世界的ですよ。海外でもデジタル周辺モノは売り切れ続出なんです」
 そう教えてくれくれたのは、PC事情通の女優伊藤裕子ちゃん。もともと製造数が少ないためなかなか手に入らないのが人気の秘密なんだそうだ。「デジタルを女のコらしく」をコンセプトにデビュー以来デジタル周辺グッズを発表し続けているブランド『ミチヨ・イナバ』は、2000〜2001秋冬コレクションで、ウェァブル・モバイルがテーマの作品を発表し、注目を集めた。今回裕子ちゃんに着てもらったのが、それだが、機能重視というより、むしろセクシー!これは流行って欲しいなー!
7/12/2000-日本経済新聞(夕刊) 14面
   

「パソコンおしゃれに持ち運び」携帯用バッグ多彩に 機能だけじゃもの足りない

 品ぞろえが多彩になってきたのは、パソコン用バッグにもファッション性を求める傾向が強まっているため。洋服デザイナー、稲葉みちよさんは「自分好みの格好いいバッグがない」と思い立って、東芝とタイアップして手作りバッグを作り上げた。ハンドバッグのように見えるが、本革製のパソコン専用バッグ。底にはコルクが敷いてあり、衝撃にも強いという。東芝のパソコン用に昨年4月、東京コレクションで数種類のタイプ(¥59,000〜¥69,000)を発表した。落ち着いた色とデザインが人気で、予約しても手元に届くまでに3ヶ月ほどかかるという。稲葉さんによると、インターネット関連の会社に勤める女性達の購入が多く、「20〜30代が中心で購入した人が後輩を紹介してくれる」ケースもあるという。

7/1/2000-読売新聞夕刊 3面 旬のファッション
 

ハマにパワー感じる / 稲葉みちよさんの創作空間

 生まれ育った町が好きで、93年にデザイナーとして独立したとき迷わず本拠地を横浜・元町に決めた。 マンションの一室が、力強さとセクシーさを兼ね備えた服作りをする若手デザイナー、稲葉さんのアトリエだ。 「さまざまな人が行き交う港町のオープンで、ちょっと怪しい雰囲気にパワーを感じるんです。 ハマトラは“いい子ちゃんルック”になっちゃたけど、トラッドって本来は不良の服だと思う。 仕事をきっちりやって、人生を楽しむ、そんな不良の服を作りたい」

 服のアイデアが浮かぶのは、もっぱらそんな“不良仲間”と遊んでいるときだ。横浜や東京のバーで友達と話しながら、浮かんだ作品のイメージを頭の中に書き留める。

 「アトリエは頭から、アイデアを引っぱり出して作品にまとめるところシンプルな方がいい」というように、黒い机が部屋の真ん中にあるだけ。その上には愛用の色鉛筆と、友達からのメールをチェックするノートパソコンが載っている。「デジタルの情報機器は私にとって、ごはんを食べるのと同じように身近な必需品。だったら、もっとおしゃれに楽しみたい」と、今年4月のショーでは、携帯電話をブーツのようにひざ下に取り付ける牛革製の「レッグハイド」を発表。

 天然素材にもこだわり「アナログとデジタルの融合」を作品のテーマに掲げる。顧客の注文を受けて家で服を作っていた母の影響で子供のころからデザイナーを志した。一時、ソフトウエアメーカー勤務など横道にそれたものの、今は「服作りが私にとっての一番の人とのコミニュケーション」と言う。アトリエの隣りに小さなショップがあり、土、日曜日は接客に立つ。「お客さんと話していて感性がつながるその瞬間が楽しい」。

 作品と同じように、パワフルで人を元気にさせる姿にハマの姉御という言葉がよく似合う。

 文・大森亜紀 写真・田村充

6/2000-F.O. Future Original 2000 Summer No.10 CD-ROM Tokyo A/w 2000-2001 Collection
    「melt(熱で溶ける)」をテーマに繰り広げられた今回のコレクションは、特に仕事&遊びを完璧にこなしまくる「サイバーOL」をベースにした高度成長期の無駄な部分の美学を入れ込んだ「リッチな不良」に注目です。
5/2000-Vantan Design Institute 2001 Vantan Total Guide P.71Live,Live,Live!
   

どんな活動をしていても私の基本は服作り。
お客さまに喜んでもらうのが仕事です。

デジタルとアナログ、月と地球、男と女・・・。『相対性の魅力』をブランドコンセプトに、新世紀到来を予見させるユニークな存在感で東京コレクションでも異彩を放つ気鋭のブランド“MICHIYO INABA”。その機能と理論に裏打ちされた魅惑的なシルエットは、独自の世界観を持つデザイナー稲葉みちよさんの真骨頂とも言える。ファッションとデジタルの融合を旗印に時代を駆け抜ける稲葉さんは、ファッション界のジャンヌ・ダルクといえる存在かもしれない。

Vantan  “相対性の魅力”と言うコンセプトはどこから出てきたんですか?
稲葉さん 子供の頃にアインシュタインの相対性理論に美学を感じ、ものすごく惹かれたんです。以来私の根底にいつも流れるテーマになっています。服作りにおいても、洋服のフォルムやバランスは宇宙の構造や成り立ちと基本的に通じるものがあると思うんです。プラスとマイナスがあって、初めてバランスが保たれる。相反するものを認め合うことで調和が生まれ、そこに美が宿るんです。それがアナログとデジタルであるし、男と女でもある。全てに通じるものではないでしょうか。
Vantan  稲葉さんの発想のソースはどこにあるんですか?
稲葉さん 言葉にするとクサイですけど“愛”ですね。愛って見えにくいけど別な形に還元することで目にすることが可能でしょ?
Vantan  愛を表現する方法としてデザインをやってらっしゃると言うことですか?
稲葉さん そうですね。洋服が好きだった事と母がオーダーメイドをやっていた環境もあって、私にとって服作りが一番の表現方法なんです。
Vantan  デザインで心掛けていることはありますか?
稲葉さん  服は体の一部って言う感覚があるので何よりも着やすく安全であるという事ですね。私はデザイナーであってアーティストではありませんのでお客さまに服を着てもらうことが全てなんです。そういう意味でも買い手側と売り手側がぴったり一致する仕事をしたいと思っています。時代が変わっていくっていうのは、まず皆が一緒の目線になっていく事じゃないかなと思いますから。今は皆が主役なんです。
Vantan  最終的には服作りと